日本語・英語・・・

言葉は大事です.いくら良い研究をしても,その内容が相手に伝わらなければ評価してもらえません.何もしなかったことと同じになってしまいます.このため,当研究室では,プレゼンテーションを重要視しています.

如何に簡潔に手際よく物事を説明し,相手を説得できるかが重要になるのです. この技術の重要性は,何も研究の場だけに限ったことではないことは明白ですね.将来,どの様な仕事に就いたとしても,自分の意見を通し,立場を高める上で無くてはならない技術です.日本では今まで,この技術を軽視しすぎていましたが,昔から必須の技術であったはずなのです.この技術を身につけるかどうかで,自分の将来が良くも悪くもなるといっても過言ではないでしょう.

皆さんは英語は得意ですか?苦手ですか?日本人は英語が得意という人の方が少ないと思います.しかし,これは経験上,英語(だけ)の問題ではありません.多くの場合,英語の論文(文章)が書けない学生は,日本語の論文(文章)も書けません.要するに物事を論理立てて説明すること自体が出来ないのです.これでは書いた英語の文章がおかしなものになって当然です. 論理立てた文章が書けること,これはすなわち,論理立てた思考ができることに他なりません.今後,言葉の問題を越えて,もっと大きな局面で重大な影響を及ぼすことは必至です.

でも,そんなに恐れることはありません.ある程度の時間はかかりますが,訓練次第で上達させることができます.当研究室の大学院生はかなりの訓練を積みますが,本当は自分自身でもある程度の訓練は出来るのです.普段から人と話すときには簡潔に明瞭に説明することを心がけることです. また,英語そのものもよく勉強して実力を付けてください.その一つのガイドラインとして,TOEICは必ず複数回受験し,高得点(是非730点超えを狙って下さい)を得られるよう努力してください.

さて,これで日本語と英語の説明は終わりました.では最後に残るC言語とは?(右上に続く)

C(C++)言語

C言語とはもちろん,コンピュータのプログラミング言語のことです.まぁ,必ずしもC言語である必要は無いのですが※※

ここでは実は,コンピュータのプログラミング言語が重要だ,と言う事が本来の目的ではありません.本当の所は,「何かを実行するとき,或いは何らかの目的を達成するためには,それの為に必要な技術を先んじて身につけている必要がある」,と言いたいのです.

前に述べた,日本語と英語もそうですが,コンピュータ言語もそうです.英語が出来なければ,外国で自分の事を説明できませんよね?それと同じ.コンピュータ言語が出来なければ,ロボットは動かないのです.
こうした技術(道具)は一朝一夕には身に付きません.皆さんは英語は何年勉強しましたか?コンピュータ言語を身につけるためには,少なくとも2,3年の修業が必要です.つまり,研究室に来てから初めてプログラミングを始めたのではもう遅いのです.その程度の技術では,十分な成果を挙げることは期待できません.

もちろん,学部の講義ではC言語によるプログラミングを勉強します.が,それは非常に基礎的なもので,大学を卒業するのに最低限必要なレベルを保証するものであるに過ぎません.研究で自在に使いこなすにはもっともっと高い技術が必要なのです.

これはあくまで個人的な意見ですが,プログラミング言語は元来,講義で習うものでは無いと思っています.もちろん,初学者に対して,勉強する最初のきっかけを作ることには一定の効果があるでしょう.が,講義で習う事によってそれ以上の成果を挙げられるとはとても思えません.言葉は自分自身で勉強するものです.

皆さんは今まで,英語を習ってきたと思いますが,それによってある程度文章を読めるようにはなったかも知れませんが,書けるようになりましたか?話せるようになりましたか?そこから先は学習する者自身の意志と努力が必要なのです.


※ 実は海外に行ってもこの傾向は変わりません.みんな英語では苦労しています.特にアメリカには世界中から人が集まっていますが,何故か日本人だけが英語がダメなのです.従って,海外では日本人だけが孤立しがちですし,彼らからの理解が得られず,嘲笑の的になったりして非常にくやしい思いをすることもあります. 一部の人は(外国人,日本人を問わず),これを勘違いして,日本人が劣っていると錯覚する人がいます.あるいは,アメリカは凄いなどと本気で思っている人がいたりします.残念ながら,なぜか日本人には自身を蔑み,外国のものを無意味に賞賛する傾向があります.外国の車やブランド品を,その価値以上に崇めるのはその好例でしょう.とてもおかしな事だと思いませんか? 確かに海外には日本よりも優れたものは存在します.が,必要以上に自身を蔑むのはやめましょう.日本人が劣っているのは,単に英語力と押しの強さくらいなものです(逆に言うと,あと英語と自信だけあれば,世界中で怖いものなし,になれるんですが).もっと自信を持ちましょう.声を大きく出しましょう.それが今後の日本や日本人の立場をより良くすることに繋がります. では解決策は?実は比較的簡単です.昔から,可愛い子には旅をさせろと言います.その通り.どんどん海外に出て行って,経験を積めば良いのです.そうすれば,恐れるものなど無いことが分かるでしょう.でも若いうちでないとダメです.出来れば中高,遅くとも大学2年までのうちに少なくとも1ヶ月,一人でどこかのサマースクールにでも行きましょう.出来るだけ他に日本人がいないところの方がベターです.しかも,一人で行くのです.これで世界が変わります.
※※ ロボットを制御するために最も良い言語はC++でしょう.思想的にはCとは似て非なる言語です.C++を使うと行列の取り扱いなどが圧倒的にラクになります.また,近年ではロボットや人工知能のプログラムにPythonが用いられることも多くなりました.OSに関しては通常,Windowsはリアルタイムの制御には使い(え)ません.時間制約の厳しい,飛行機などの高速な運動制御にはVxWorksやμ-iTRON,mbed-osのような専用のリアルタイムOSか,もうすこしゆるい対象の場合にはLinuxを使います.ロボットを開発するときは,当然これらの言語やOSに習熟している必要があります.

ロボットを動かすためには同時に多数のプロセス(プログラムの実行コード)を連携させて動作させる必要があります.これを上手くやるためには,ROSと呼ばれるミドルウェアがよく用いられています.

また,プログラムコードを多人数で同時に作成したり,メンテナンスするために,Gitと呼ばれるバージョン管理ツールが用いられます.離れた場所にいる多数の開発者で共同作業をするため,通常は専用のクラウドサーバであるGitHubと共に用いられます.